派遣社員は短期的に人材不足を解消する手段として多くの業界で活用が進められてきている。介護業界では一時的な人材供給の方法としてだけでなく、慢性的な人材不足を補う手段としても利用される例が増えてきた。介護業界で働く上では正社員やパートとは異なる就業形態として一度は考慮してみると良いだろう。
その際によく理解しておきたいのが立場の違いである。従事者の立場から正社員やパートと大きく異なるのが現場との雇用関係である。正社員やパートの場合には雇用契約によって現場と結ばれているが、派遣社員の場合には直接の雇用契約は存在しない。派遣会社との間で雇用関係が成立していて、その社員として現場に派遣される形を取っている。そして、その際の仕事内容や勤務条件については派遣契約によって規定されているのが特徴である。
派遣契約の内容の決定には自分と派遣先の介護施設だけでなく、派遣会社の合意も必須となっている。そのため、現場での指揮系統はやや複雑になっているのが特徴である。派遣契約の範囲内でしか現場から従事者への指示を出すことはできないのが原則であり、もしその範囲外のことをさせる場合には派遣会社に問い合わせて許可を受けなければならない。業務に関する指揮系統が異なるお陰で、急な残業を命じられるといったことはなく、強制されたら訴えることすら可能である。そのため、派遣契約の内容さえ納得できるものにすれば、そこから逸脱せずに働ける魅力があるのが派遣社員と言える。